意気揚々とこの記事を書き始めて、私の大好きな作品【お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件】を一番手に持ってこようとしたら、まだコミカライズ開始していなかった・・・!(2020年11月24日現在)

いきなりつまずきました・・・。というのも、なろうにおける【現実世界】カテゴリは他のジャンルに比べると盛り上がりに欠けるからです。

どうして盛り上がらないのか!ピンチを迎えた漫画紹介の現実恋愛編。その理由をお話しつつ漫画の紹介もしていきたいと思います!ではスタート!

なぜ?現実恋愛がなろうで流行していないのは・・・。

なろうの総合ランキングを見れば分かるものです。ちょっと見比べてみましょう。データは2020年11月22日に調べたものです。

・異世界恋愛 総合100位以内に20作、最高順位 4位
・現実世界恋愛 総合100位以内に3作、最高順位 82位
・SF 総合100位以内に5作、最高順位35位
・文芸 総合100位以内に1作、最高順位52位

どちらも異世界恋愛の方が上回っていて、最高順位に至っては1桁順位どころか50位以内にも入っていないほど。
この結果が全部とは言いませんし、面白さにも差があるとも言いませんがジャンルそのもので多少なりとも差が付いていることは分かるかなと思います。

文芸カテゴリには作数で勝っていて最高順位で負けています。これは痛み分けといったところ。

盛り上がりに欠けるということは、書籍化に関しても他のジャンルに比べると遅れをとりやすいということでもあります。

更に言いますと、なろう発の異世界恋愛ものですらもアニメ化までこぎつけた作品はほぼありません。異世界ファンタジーに恋愛がくっついてる作品もあるのが難しいポイントなんですが・・・。

なぜか?簡単です。恋愛ものはなろう以外で簡単に埋まるからです。

青年漫画、少女漫画、ギャルゲを含むゲーム、なろう系を介さないラノベ。数には全く困りませんし、名作も山のように存在します。

わざわざなろうで現実恋愛ものを書くよりも、注目されやすい異世界、ファンタジー、転生系に行く流れもあるのかもしれません。

困ったときのカクヨムさん

というわけで、なろうに絞らずにカクヨムさんにもご登場いただく流れとなりました。

一応タイトルはなろう”系”ということにしてごまかしたことで許されるはずなので、許して欲しい。

 

カクヨムは小説家になろうと同じく小説投稿サイトのひとつ。かの有名な角川文庫のKADOKAWAが運営していることは以外と知られていないような気がします。

なろうは2004年開設、カクヨムは2015年開設とすでに業界の主流にいるなろうに比べると追いつかないといけない立場でもありますが、まだまだ難しいところでもあります。

なろうとは違い、ジャンルごとでの流行り廃りはあまり見られず、ラブコメ作品もそこそこ総合ランキングで顔を見せるので、見る人も読む人も「恋愛モノならカクヨムの方が・・・」となりやすいことからの登場となりました。カクヨムさん、よろしくおねがいします。

隣の席になった美少女が惚れさせようとからかってくるがいつの間にか返り討ちにしていた

【連載媒体】がうがうモンスター、ニコニコ漫画

成戸悠己がクラスの席替えで隣になったのは、“隣になった男子は残らず告白(+玉砕)してしまう”と噂される「隣の席キラー」鷹月唯李。

何かにつけてグイグイ来る唯李に陥落も時間の問題……かと思いきや、悠己の鈍感具合は尋常じゃない! むしろ唯李の方が、悠己のことを気になりだして!? 

「くっそ、すました顔してぇ~。見てろよ見てろよ~……!」

鈍感男子×からかい女子の噛み合わないラブコメディ、開幕?

前回の異世界ファンタジーでもそうですが、やっぱりタイトルなげぇ。

からかいもの、となると最近では高木さんや長瀞さんなどのお互いに好きであるが故の甘々さを見てニヤニヤする作品でした。

当作では逆に主人公がヒロインになびく様子が全くなく、天然さと鈍感さをもって返り討ちにして女の子側を照れさせ慌てさせるのを見てニヤニヤする作品となっております。

 

基本的には唯李がボケて、悠己がツッコミという名目であしらって、唯李がぐぬぬ・・・とさせられるのが流れ。逆に悠己がボケて唯李がツッコミ、そのツッコミを冷たくあしらったりと、テンポの良さが秀逸。
その度に恥ずかしい秘密が知られてしまったり、ボケがダダ滑りして冷や汗をかいたり、冗談にマジレスされて実はさらに冗談だと分かって不機嫌になったり。やられすぎじゃね?クリボーとかスライムでももうちょっと善戦するで?

ただのラブコメかと思いきや、悠己と唯李の関係性が結構作り込まれていて、どうして唯李が隣の席キラーになったのか、なんで悠己にはそこまでガンガン行くのか、読んでるとふらふらとしたフラグがあったりして読み応えがあります。

気付いたら悠己の妹のために偽彼女になっていたり、唯李の友人に目を付けられたりと、『隣の席』から始まった関係は2人の関係を紡いでいく・・・かは知らん。

漫画版はなろう版のテンポをそのままに、デフォルメされた表情も多用して可愛くもある形で表現されています。
やっぱりラブコメって漫画の方が表情がコロコロと変わるから良いですよね。活字と絵の違いの素敵ポイントです。
ラノベ版も大概なんですがそこかしこにオマージュが散りばめられており、怒られないのか非常に気になるのもまたポイント。ぜひとも探してみて欲しい。モロ分かりなんですがね。

一番の特徴は唯李さんのちょっとアホっぽさが全面に出ているところ。うわーってなったり、ふわーってなったり、パンツ見られて逃げ帰ったりとこちらでも絶好調。やっぱりやられすぎじゃね?

私個人としては2巻の表紙が一番唯李っぽくて好き。まあ、この後ひどい目に合うんだけどね・・・。

月50万もらっても生き甲斐のない隣のお姉さんに30万で雇われて「おかえり」って言うお仕事が楽しい

【連載媒体】コミックガルド、ニコニコ静画

雨の日の夜、マンションの廊下で松友裕二は、隣に住むOL・早乙女ミオが鍵を無くし途方に暮れていたのに出くわす。

放っておけず助けただけのつもりが……「月に三十万円であなたを雇います」と宣言されてしまい!?

ちょっとした親切が、彼を地獄の社畜生活から生活能力ゼロの美人OLに「おかえり」を言う天国に転職するミラクルをもたらす! 孤独なお隣さんとのアットホームラブコメディ。

誰もが「そんな仕事してぇわ・・・」と、なるでしょう。ですが話が進んでいくと、「これで30万・・・?」と、なります。うん、人生は甘くない。

主人公の松友がスーパー優秀マンで成り立っているところが100のうち90であり、私が変わりにここへ入ったとしたら多分3話で終わります。次回作にご期待下さい。

実際にオン・オフの激しい人っていますよね。仕事場でめちゃくちゃきっちりしてて、家に埃なんて一欠片もないんだろうなあ、と思ってた先輩の家が結構なアレさだったこともありますし、平常時は優しい人がいざってときにめちゃくちゃ厳しくなったり。

さておき、この月50万は2人のほのぼのしたラブコメを楽しみつつ、早乙女さんのポンコツさと優秀さのギャップを愛でながら、母親のような気持ちで早乙女さんを見守る作品。

漫画版では、やはり表情の変化が一目瞭然なのがいいですね。恋愛系の作品は絵があってこそ活きる!

1話でビジネスモードで立ち往生していた早乙女さんを、松友が手助けしていく流れで「おかえりなさい」を伝えた後の表情ですよ。ツリ目の彼女が嬉しさから 表情が全開で柔らかくなるのはグッド。

ラノベ版と比べると、早乙女さんの目つきがかなり違っていて漫画の方がキャリアウーマンっぽさが目立ち、ラノベは純粋に可愛い作りになっています。どっちが好みかはあなた次第。

社会人ラブコメって学園ラブコメに比べると、イベントの絶対数やキャラクターの作り方などどうしても幅が狭くなりがち。成人済みのツンデレとかただの痛い人では・・・。
そんな中でも早乙女さんは上記の通り、優秀でポンコツでたまにストレスで幼児化するなど、ひとりでキャラクター性という引き出しを全て担い続けています。

ひげを剃る。そして女子高生を拾う。

【連載媒体】ニコニコ漫画、コミックウォーカー、少年エース

IT企業に勤めるサラリーマン・吉田は、上司の後藤愛依梨にフラれた夜、荻原沙優という家出少女と出会う。沙優はセッ○スと引き換えに宿を提供するよう吉田に要求するが、吉田はこれを拒否した上で、働くことを条件に彼女を居候させる。

吉田と暮らすうちに、沙優は吉田の優しさに触れ、彼に捨てられたくないと思うようになる。沙優から思いの丈をぶつけられた吉田は、沙優がいることで自宅の居心地が良くなったと打ち明ける。その上で、吉田は改めて沙優に共同生活を送ることを提案し、沙優もこれを受け入れる。一方、愛依梨は、吉田が家出少女と暮らしていることを知る。愛依梨は沙優に会い、今後のことを考えるよう諭す。

吉田と暮らし始めてから2ヶ月後、沙優はアルバイト先で、かつて宿を提供してもらった男と再会する。男は沙優と性交しようとするが吉田に阻まれる。その際、吉田は男から、沙優との生活をずっと続けることはできない、と指摘される。

季節は巡り、夏、吉田の職場に神田蒼という女性が加わる。蒼は吉田の元恋人であり、そのことを知った沙優はもやもやとした気持ちを抱く。一方、吉田は、一度は沙優が実家に戻れるよう手助けすることを決意するものの、既に沙優がいない生活を想像することができなくなっていた。そんな折、沙優の兄が、妹を引き取るために吉田宅を訪れる。

今のご時世、S○Xとかセ○クスは伏せ字にしないとグーグルさんに目を付けられます。世知辛い世の中です。

タイトルだけ見ると、いかがわしさMAXで実際にそこいらのラノベと比べると生々しい描写も多々存在します。

主人公の吉田が女子高校生の沙優とひとつ屋根の下で暮らす、という非日常の中で文字通り “身体” を渡そうとしてきたヒロインが、主人公に諭される形で共に日常を過ごしていくことになります。

一言でまとめるなら、ラノベなのにラノベらしくない、でしょうか。この辺は人によって見方も違うでしょうが、私はそう感じましたね。

立場的にも精神的にも危ないバランスの上で成り立つ物語の中で、吉田と沙優を中心にしたドラマとも言えるほどの人間関係。

ヒロインは可愛く、主人公は葛藤を抱えつつも中々の男前ぶり、ストーリーは大人と子供のことなど考えさせられる部分もあるけど、だからこそ日常の場面はほのぼのとしたシーンが凄く光って見えます。作り手の妙でもあるのかもしれません。

私自身は不安定さから来るハラハラドキドキの中で、こいつらどうなっちまうのかな、と吉田の親のような気持ちで見守っています。でもこいつモテるからそこは許せん。

コミックはカクヨム版の最後までほぼ終了しており、ラノベ版は完結が近そうな雰囲気が出ていて、アニメ化も決定済みですでに声優さんも発表されています(2020年11月26日現在)

そういった作品そのものを追う楽しみが好きな人にもおすすめ。

継母の連れ子が元カノだった

【連載媒体】ニコニコ漫画、コミックウォーカー、ドラドラふらっと♭

中学校二年生の夏、綾井結女は同じ中学校の同級生である伊理戸水斗に告白をし、二人は交際を始めた。二人は始めのうちは、カップルとして仲良く過ごすが、些細な行き違いからお互いのことを疎むようになり、中学校からの卒業を機に別れることになる。

しかし、その2週間後にともに片親であった水斗の父と結女の母が再婚をし、水斗と結女は同じ伊理戸の姓を持つ義理のとなって、同じ家の中での生活を始める。付き合っていた頃のわだかまりが解けずにいつもいがみ合いつつも、水斗と結女は両親の新婚生活に気を遣い、カップルであったことを隠してただの義理の兄弟として接していくことにする。

なんというかようやく普通の学園ラブコメが来た気がします。中学時代付き合っていた水斗と結女のカップルが別れて、その1ヶ月後には親同士が結婚して義理の姉弟になったことから始まるラブコメ。

義理とはいえ家族として高校生としいて過ごし、それでいて以前はお互いに好き合っていながらも若さ故に別れた2人。認めたくないものだな・・・。
お互いに意地を張り、頑固になり、過去付き合っていたことを否定しつつもどこか気になる2人。

行き着いた先は、どうやって相手を弟妹にして自分が兄姉になるか。なんだよお前ら可愛いかよ。

だから、上のあらすじでは”きょうだい”とひらがなになっています。兄妹でも姉弟でもないからきょうだい、と。

過去を覗きながら、現在を想い、ちょっとずつ変わっていく関係を楽しむことができる作品となっています。

上手いなと思ったのが、視点をどちらかに固定せずにそれぞれを行ったり来たりすることで、水斗と結女、両方に対しての心の内が見えること。我々見てる側はとてもニヤニヤできます。

ニヤニヤできるんですが、ラノベ1巻の南暁月さん関連の騒動がぶっ飛んでて、え、これが1巻なの?と表紙を見返した私もいました。1巻だけ見るとそこそこのパスっぷり。

漫画版ではやはり元カノの表情変化に注目して欲しい。ラノベ版の挿絵以上にコロコロと表情が変わる結女さんは必見。

ラノベは5巻でドラマCD付きバージョンが発売され、とうとう声が付きました。中々に豪勢なキャストなのでとりあえず聞いて見てくださいな。

まとめ

書籍化されにくい流れとして、なろうだと純粋な恋愛ものよりも”ざまぁ”や”もう遅い”系の方がランキング入りしやすいのもあるように思います。

そうしたジャンルはたまに見る分にはいいんですけど、継続して買うかと言われると難しいんですよね。

王道なジャンルなら他で見ればいいし、書籍化する側も他で発掘すればいい。そんな流れが続いているのがなろうの現実恋愛カテゴリ。

ひとつふたつ、大きく当たる作品が出てくれば、書き手側も増えて切磋琢磨しレベルも上がっていこうものだと思うんですけどね。

きっかけになりそうな作品が出てきて欲しいですな。個人的にそこに【お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件】が来てくれれば嬉しいところ。